今年度の前期は、座学は最初と途中にオンライン移行したものの、演習は対面で遣り切った。大きな混乱なく、無事に終わって何より。東海では大学生のワクチン摂取が進んでおり、後期も基本対面が続きそう。
それでも、学生に面と向かって、
街に繰り出せ!
建物を見に行け!
って言えないのはどこかもどかしい。
そして、ゼミ生ともまともに飲みに行けないのは悲しい。
さて、座学2個の課題は、フィールド系の課題を課していましたが、
昨年今年は雑誌や本がメイン。
今年は、
1年生→建築系の雑誌を1年分見て、もっとも好きな窓辺空間をレポートしなさい
というレポート。
うん。結構いいかも。
学生が頑張って、アクソメなどを駆使して表現する。
自分なりに美しい窓辺を考える。
これは設計の最初にいいかも。
2年生→建築家の本を読んで、思想と表現をレポートせよ。
デザインの背景には思想があり、それが建築に現れるのが優れた作品。
ただのカッコイイ、ではない、というのを、身をもって知ってくれる機会になったかと。
これは来年もやってもイイかも。
昨今の学生は建築家を知らない
なんてよく言われますが、それは教育側がフォローすれば、問題ないんだな、と。
続いて実習。
「ワークショップ」という1年生向けの授業では、絵を描く課題を担当している。
毎年教えているけど、コメントは毎年違う。
今年は、宮崎駿をよく引用した。
「大切なことは、たいてい面倒だ。」
まさにその通り。
面倒なことは、きっと、大切なことにつながる。
面倒な絵を、鉛筆で描き続ける。その先に、大切なものを作る力がある。
こっちが心を込めて喋ると、学生は、態度で返してくれる。
熱量高めだけど、今のところそれでいいんだな、と再認識した。
3年生の「建築デザイン」。
3年くらいかけて、大学の課題を整理してきた。
今年はようやくその整理が結実し、設計課題の順番等をいじれた。
学生の到達度をあげるための工夫に対して、
学生は、頑張って応えてくれた。
課題はあるけど、挑戦し続けることができる。
面倒だろうけど一緒にやってくれる同僚の先生方に感謝。
難しい課題をちゃんとめげずに完走してくれたのは何より。
担当したクラスは、教える充足感を再確認させてくれる幸せな時間だった。
大学院の座学では、篠原一男→坂本一成→アトリエ・ワン→more
という、東工大建築家の考え方を一通り学生と一緒に学ぶ、従来の授業を行った。
その後、「ドローダウン」という本を参照しつつ、
環境負荷の少ない建築・都市のあり方の提案を求めた。
これはまだ精度が高くなかったけど、
未来に向けて建築で何かを解決するという、
大切な考え方は教えられたかと。
とまぁ、ようやく。怒涛の前期が終了。
ここからは充実の夏休み調査週間が続く。
後期は授業が落ち着き、自分の時間とゼミの時間に注力できる。
来年もちょっとずつ教育の質をあげていきたい。
でもこれは何のためにやっているのかな?
って思うことが多々ある。
決して、学生がコンペをとったり、全国規模の卒業設計で入賞したり、
を目指しているわけではない。
大切なのは、彼らが、自分の芯を持って卒業後も社会で仕掛けるようになること。
職場で建築を作るのに終止するだけでなく、
周りの人を幸せにする人たちが、10年後に現れたら本望だ。
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