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名城大学卒業制作審査会_2020

最終更新: 2月25日

今年も卒業設計という大舞台が終わりました。

1年かけた集大成。

振り返りたいと思います。

ちなみに審査方法などが記載されている昨年の審査会録はこちら


さて、まずは全体の感想。

全体のレベルは高かったです。贔屓目もあるかもしれないが、これまでに参加してきた過去3回の中では一番。間違いなくハイレベルで、これは点が集まるだろう、と思っていた作品に入らない状況で、票が読めませんでした。


結果が出ると確かにな、と思うものの、勿体無かった作品も多かったです。

例えば、

・55歳からの友達作り-第二の人生の始め方-

は、とても優しい提案で、切り口やストーリーも良かった。ただ、作品として、どんな空間が素晴らしい物語を支えているのかが不明瞭だったのがもったいなかった。

・ぼけっとくりえいしょん-湯谷温泉駅駅舎再建計画-

は、浮世絵から建築を作るという挑戦は良かった。が、挑戦に没頭せず、幕内弁当になってしまったのが惜しかった。

・マチが織りなす布のみち

は、すべての完成度が高く練られた作品だったが、努力と空間の対応があべこべだった。しかしながら、もっと評価されて良かったで賞。


一方で、こちらの回答を考えさせられる作品はありませんでした。昨年の抽象絵画やスケッチ集は、どうしたものかこれは、と考えた記憶があります。その点、ディープゾーンに入っていた作品の強度は落ちたと言えます。その点の爆発力がもうひと息だったのがこちら。

・釜ヶ崎再興

・旧伽藍線再興計画 -東大寺・次なる千年に向けて-(優秀賞・3位)

・House for SMETANA〜 SMETANAの「わが生涯より」を題材とした音楽による空間構成〜

・或る遺は。(奨励賞・同率5位)

彼らは大学院に進学だそうなので、ここからも一緒に頑張って行きたいです。


卒業設計は、「次の未来を見据えた学生の疑問提起」だと思っています。

完成度が高いものの、未来思考に到達できていないものも多かった。刺激的な建築の話題を多く提供してくれている馬場さん(open A・東京R不動産・公共R不動産)は、設計や活動の先にある「社会的インパクト」に重点を置いているといいます。また、恩師の貝島さんは設計に関して「ディスカッション・ポイント」を明確化せよ、とよくおっしゃっていました。この辺が今後の課題だと思います。

その点がよくできていたのが、

・余白不動産 −最高密度の都市を楽しむ(最優秀賞・1位)

完成度は申し分ないものの、その点で疑問符がついたのが、

・夜叉ヶ池継承舞台-自然環境に呼応した体感装置の提案-(優秀賞・2位)


設計課題を教えた学生たちの躍進も、単純に嬉しかったです。本当に。特に、名城に来て初めての課題を見たメンバー。こちらも手探りの中、名城教員として育ててくれた彼らは、自分のゼミ生のごとく嬉しかったです。

奥村、改井、加藤、川村、木村、久保、近藤。それぞれ思い入れが…。そのなかでも

・島業の営み −日常生活に見られる建築的可能性−

4位の作品は、当時教えていたことに近い気がして、とても嬉しかったです。


さて、今年は2年間みた学生の初めての晴れ舞台。ふるった学生も、そうでない学生も、頑張っていました。

授業のエスキスをしていない世代でしたが、一緒に活動した2年間で、考え方の根幹の部分は伝えられたかと思います。ただ、プレゼンの仕方とか、設計の細かいところの指導まで追いつかず。自分に精進が必要だな、と改めて。

僕がやれたことは本当に限られていましたが、ゼミ生から最優秀賞と奨励賞が出ました。今年も彼らの頑張りに感謝です。

それ以外の学生も本当に頑張ってくれました。個人的に、卒制は「将来の自分へのエール」となるといいと思っています。将来、自分が挑戦することの射程を示せれば、それは素晴らしいことだと。うちの学生のみんなは、結果が振るわなくとも、少なくとも自分の将来と関係がある、良いチャレンジだったと思います。

・風景としての建築(勝手に佐藤研究室賞)

・漁村のウラ道 −沿岸漁村における道の駅の再考

・ツクル風景 −地方都市浜松の新たな街並み

・暮らし方改革 −家びらきによる郊外住宅地の再編

・share町家 −「若人」による「いえロジ」町家改革

・秘密基地 −個人の城としてのハナレの可能性(勝手に佐藤研究室賞)

・「こどものまち」へようこそ −あそびから考える子どもの居場所

・小さな起業の場 −変わりつつある商店街の未来

・イエ族の棲み家(奨励賞・同率5位)

・都市のパレット −転換期における都市商業施設のこれから

・丸大豆を触れ歩く

・余白不動産 −最高密度の都市を楽しむ(最優秀賞・1位)


順位を取るだけが成果ではありません。今回ダメなら、その反骨精神で、次に頑張ればいい。卒制は失敗したけど現在輝いている人なんて、ごまんといます。直近の学外での卒業設計の舞台で受賞する人が出れば嬉しいし、大学院進学後にコンペに入賞してくれるのも嬉しい。来年の学生も頑張ってくれて、愛知のレベルが上がるのも充実を生む。就職した先で素敵な建築を作って建築文化を引き上げてくれるのもいいし、面白い仕事を立ち上げて、誰かと一緒に仕事をできたらそれは最高に幸せ。10年後、この中の誰かが雑誌に載ったり、賞を受賞する姿を夢見ています。


最後に、審査に参加いただいた先生方。

名城では、誰が誰に評価をしたのかも全て公表され、公開で順位が決まります。ディスカッションでは、個々人の指導力や建築の考え方を真剣に晒さないといけない。そんなノーガードな講評会は、教員側も結構エネルギーを使います。

正直、非常勤講師の給料なんて、スズメの涙程度。ここら辺みんな勘違いしているけど。本当にバイトレベル。

それでも熱量をかけてくれている先生方、卒制も、大人が1日フルに使ってくれるなんて、最高の贅沢。


ということで、すごく大変なエネルギーを、学生も教員も使う卒制講評会でした。

長文だけど、できるだけ、毎年、書こうと思っています。


みんな大変だけど、自身も、学生も、頑張ることで関係各所への恩返しになると思います。精進します。








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朝日新聞・先端人に載りました

3月15日付の朝日新聞、先端人というコーナーに載りました。東海圏の研究者を紹介するコーナーです。 震災時に訪れた地域との出会いが、研究者としての歩みの原点です。いまも友や仲間に会いに訪れ続けています。 そんなことが書かれています。