日本建築学会東海支部研究集会に参加しています。
うちの研究室からは4題。
名城では3年生に研究室配属になります。なので、2年間かけてじっくりと教えられる。
初めて2年間見た学生には、論文と設計の両方を課しました。
その上で、対外的な発表まで到達してくれた4名。
当日の発表を改めて聞くと、あぁ、こんなに蓄積していたんだな、と感心しました。
発表する姿は、とても頼もしく、そして誇らしい瞬間でした。
発表した4題はこんな感じ。
岡田和浩:地方都市中心市街地の商店街におけるイベントの効果検証―
柳ヶ瀬商店街・美殿町商店街を事例として
近年、マーケットを起点とした地域活性化が進む柳ヶ瀬商店街。その経緯からマーケットの展開、その後の出店までの一連の流れを丁寧に調査した研究。マーケット開催履歴調査、出展者ヒアリング、店舗実測と3段階の調査により、街を元気にする方法論の一つとしてマーケットを捉えている。
倉知 翔:登り窯以後の窯元の空間利用変遷に着目した窯業集落の空間的特徴
岐阜県土岐市下石町はろくろを使った窯業が盛んな地域である。しかしながら、近年の窯業はわかりやすい生業景観を失っており、一見するとどんな生業が営まれている地域か判定しずらい。そこで、ふるくから続く窯元の空間構成に着目し、実測とヒアリングを基盤に空間構成の変遷を捉え、過去から現在に至る景観の原点を探っている。その結果として、現状の景観に散りばめられた窯業の軌跡を捉えている。
原田祥吾:三重県沿岸漁村遊木町における気候風土への適応手法からみた集落空間構成
三重県熊野市の漁村には、雨を避ける空間が多く存在している。そこには住民の自発的な営みが見受けられ、内外が連続した空間利用が確認できる。そんな集落の増設空間に主として着目し、その空間構成を明らかにしようというもの。集落の悉皆調査から始まり、個々の増設空間をつぶさに見つめ、その上で内部空間の実測とヒアリングから空間構成の特徴を明らかにしている。
半澤 龍:変形平面をもつ都市型住宅作品からみる建築と都市の関係
近年、建築作品に変形平面を持つものが増加しており、内外の境界の作り方に今日的作家性が内包されているのではないか、という仮説が本研究の原点である。30年間の間に発表された建築作品を丁寧に収集し、現代住宅作品とその周りとの関係を考究した本研究は、余白の時代的傾向を導き出している。現代建築作品の潮流を独自の視点から把握している。
今回支部研には出さなかった8題も負けず劣らず。
計12名の卒論+卒制の指導は、正直、結構ヘビーでした。
でもやってよかったな、と改めて。
力強く発表する彼らの姿を見ていると、2年間一緒に試行錯誤しながら歩んできた日々が反芻され、最近ちょっとセンチメンタル。
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