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猿楽十方楼の見学に行きました。

更新日:2020年1月1日


昨日は修士時代からお世話になっている筑波大学貝島研究室のOB・OG会に参加してきました。

今回は、いつもの飲み会に加え、研究室の先輩、平井政俊さんの作品「猿楽十方楼」の見学もあるという豪華スケジュールでした。平井さんは貝島研究室4期生で、その後アトリエ・ワンを経て独立された建築家です。YGSA設計助手もされていました。

設計者から細かい点を聞くことができ、見学はものすごく学びが多かったです。

その後は恒例の飲み会で、建築談義に花を咲かせました。

大先輩に生意気にも自分の考えをぶつけ、回答してもらい、さらに疑問をぶつける。

暖かく、丁寧にご説明いただきありがとうございました。

以下、見学感想文になります。

ーー

「饒舌」

それが見学会を終えた時の正直な感想。もちろん、これは関西出身の平井さんを指しているのではなく、彼が生み出した猿楽十方楼について。

普通の設計にかける時間の3倍はかけたという同作は、都市・構法・生活様式・環境など多角的提言を内包する極めて批評性の高いものであった。

代官山駅から歩いて数分。目に入る建築がおかれた周辺状況を鑑みると、厳しい条件の中解いているであろうことが容易に想像できる。

外観をみると、窓の美しい配置バランスや塔屋の愛らしさに目が行く。全体的にシャープな印象をもち、要所で用いられている鉄板で統合されていた。

豊かな内部空間が暗示されるとともに、都市における佇まいも丁寧で、それでいて異彩を放つ美しい外観は、アトリエ・ワンを経てYGSA設計助手を勤め、東北で奮闘したこれまでの様々なキャリアが表出されたものなのだろう。

中に入ると、丁寧に作り込まれた小空間に出会う。

小規模CLT、塔屋、窓の借景など、どれも魅力的で力強い納めであった。

それらが丁寧に、破綻なく立体的に組まれている。

小さな家の中で2つの家族が住み、スモールオフィスと店舗が同居している建築の使い方は、都市居住へも強いメッセージをもつ。

これだけ情報量が多いとどれに重きをおいて表現するかで、建築物の求心力は大きく変わる。

この日は現場で状況を見ながら、かつ、設計者の説明を受けたので、CLTを有効に活用し厳しい条件を上手に解いている印象が強かったし、内外の体験を通して最も強い言語と感じたのは、小型CLTが持つ可能性であった。

しかしながら、新建築では、上述の住まい方へのメッセージが強かった。今回の貝島研での訪問でも話題の中心はふるまいや都市への提言性などになったし、当然、心にすっと入ってきて、強く共感する概念である。

ではなぜ平井さんはそちらを選択したのか、と自分なりに考え、質問を投げかけてみたりもした。質問に対して嘘も隠し事もなく赤裸々に語ってくれる平井さんの言葉を聞くとともに、貝島さんのクリティークもとても参考になった。そして帰ってきてからまた考えた。

思い出したのは、

建築が生んだギャップに緑を植え、朝、水をあげているとご近所さんと会話が生まれる。とか、事務所などで使っている3連引き戸は都市に大きく開くヴォイドともなる。など、この建築の生活者目線で、都市との接点を生き生きと語ってくれた平井さんの姿。生活の中で改善を重ね、これからきっと、もっともっと都市との接点を追加して行くんだろうな、と思う。建築作品として、堂々と力強く言葉を発し、そしてそこに住み、暮らしの実験を続けて行く撤退なき生き方は、純粋に憧れた。

おそらく、あの新建築の言葉は、平井さんがこれから生み出すであろう種々の作品の中でも投げかけ続ける、建築家としてのテーマなのだろう。

ずーーーっと前を走る研究室の先輩の背中はとても大きく、強く、逞しかった。

とても刺激的でした。頑張ります。

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