佐藤研究室では、学生に卒業論文と卒業設計の両方を課しています。
卒業設計は学生最大のイベントですし、自身の建築との関わりかたを考える大切な機会でもあります。
加えて、卒業論文も、対象としっかりと向き合い、論理的思考を身につける重要な機会です。論旨を整理し、仮説を立て、検証する。そのプロセスは社会に出て何かを起こす際には必ず役に立ちます。
私学の中には片方だけで良いところもありますが、どちらも大切だと思います。
特に丁寧に手順を踏んでやるとできますが、食わず嫌いになりがち。でも、もし修士に上がるとしたら、大半では必要とされます。将来の選択肢を広げる意味でも、大切です。
さて、そんな卒業論文。
佐藤研究室では、
「まちづくり」「まち・ムラの空間構成」「生業と建築」「構成論」などの研究をしています。
街を彩る活動に興味のある人は、実際の活動を対象に、お話を聞いたり、実際の活動が生じる場を調べたりなどしながら、分析を行います。今年はざっくり以下のような内容を研究している学生がいます。
・作ることを開くこと。改修を開くことによるコミュニティ形成効果
・岐阜県柳ヶ瀬商店街のまちづくり。定期マーケットがまちに与える影響
・住み開きが与える影響。家の一部を地域に開放しているものの調査
・名古屋市内のマーケットと人の滞留
・プレイガーデンにおける子供のふるまい
まちやムラの個性などに興味がある人は、特徴的な建築に着目してその構成を読み解きます。その先にあるのは、地域で重要視されていないけど後世に継承して行きたいものの価値を、正しく評価し、伝えていくことです。
・静岡県浜松市の戦後ビルの研究。戦後一斉に建てられたビルのうち、現在も残されたものはどんな個性があるのか。
・名古屋市中村区の町屋の更新。名古屋の町屋の特徴は何か?
・三重県四日市市富田一色町の街並み。四日市の古い町並みの調査
・三重県熊野市の漁村研究。災害や気候に対応した集落のあり方
街を支えた産業と建築の関係に興味がある人は、特定の生業が発達した地域を対象に、空間の分析を行います。産業が生み出す景色は美しく、力強いです。買う、だけじゃない地域との関わりかた、観光のあり方を模索しています。
・岐阜県土岐市下石地区の窯業
・愛知県知多半島の醸造業
建築の構成をきちんと勉強したい人は、有名建築や名建築を対象に、過去から現在に至る建築作品の変化を捉える研究をします。
・変形四角形の建築の時代傾向と空間の意図
9月末に論文としての提出を求めています。
夏は調査の大詰め!
みなさん頑張ってください。
写真はゼミ生ではないですが学内の勉強の様子。