• nobusato

Nagoya Archi Fes.をみて

通称NAFは、中部圏の卒業設計展。

近年は、学生からするとせんだいデザインリーグの聖地性というか、ネームバリューのようなものは減ってきているようで、対話式の福岡デザインレビューを重視しているものもいるし、うちの大学だとバランスの良いNAFしか出さないものも多い。時代を感じる。

実際、今年のNAFの審査員は豪華(内藤さん、島田さん、近藤さん、三谷さん。本来はそこに中山さんと中川さん)で、ここで、時間をかけてきちんと見てもらえることはとてもいいことなんだと思う。

でも教員としては、仙台とか福岡の大きな舞台にも挑戦して欲しいところ。

特に、名城みたいな地方私大だと、こういった大きな大会で入賞していると世界が変わる。

地方私大であることを嘆く暇があったら、そこで活躍すれば良い。日本全国、大学名に関わらずフラットな評価を携えられる。

正直、大学なんてどこでも同じ。

尊敬できる教員のもとで学べるか、と、周りにどんなライバルがいるか、だけで、あとは個人の努力。


さて、会場に着いた。だいたい1時間半くらいで、午前中だけザザーっと見て回る。

中部圏の卒業設計の全体像を概観したかったことと、

自分の審査眼が正しいのかどうかを知りたく。


学内の審査会の時にも思ったんだけど、近年の傾向として、小さなものを収集する傾向が多い気がする。

収集の先に大きな建物へと昇華させるものもあれば、

収集に基づきパラパラと建築物を点在させるものもある。

これら収集系は、リサーチの結果がダイレクトに出るから密度が出やすい。

小さなエレメントから全体が構成されることは、きっと学生の想像力が働きやすい操作でもあるんだろう。

特に、力のある学生がそういった地道なリサーチに基づく収集系に力を入れている傾向があるのか、提案として力強いものは、収集系に走っている気がする。

全般に間違っているものではないんだけど、リサーチの構造化とその先の未来への提言が伴っていないものも見受けられる。

あとは、そもそも卒業設計なんだからもっと大きなものにトライしてもいいのでは、という思いもどこかにある。

来年は震災から10年。そろそろ違うフェーズへの移行もあっておかしくないのかなぁ、と思っている。その辺のモヤモヤも強く、何かしらを求めてNAFを彷徨っていたこともあるのだが、特段答えは出ず。


作らない操作や、設計自体の密度をあげるよりも場の力を重視し、結果として空間力が弱かったり、作らない選択をしているものも。遺構系とでも言おうか。

彼らが何を意図しているのかは理解に苦しむ。

既存の資本主義経済から生まれる空間への懐疑が根底にあるのだろうが、

答えを自然とか地方に安住を求めるものではない。

これまでの社会構造であまり重視されてこなかったものに着目し、それらが持つ力強さを表現しているものの、自身の空間との折り合いをつけにくい様子。その点は歴史系も一緒か。


都市空間への懐疑という意味では、自然要素に着目するものもある。

水辺は根強いなと。

風景とか自然という視点から建築を考えているものも多かった。

一方で、彼らが本当に、上述の都市空間への懐疑、などの根本的視点を持っているのかは疑問。

ここ数年、卒制の都市回帰が進んでいる気がする。軸をしっかり持たないと地方復権の道は遠いな、と。


あとは、リノベーションや小さな新築を連続させる町並み・地域社会圏系。

これらは、良く練られたストーリーが見受けられるけど、空間のダイナミックさを表現することが難しい。1/30以上の模型で、エレメントまで設計するくらいの気概が必要なのかもしれない。

個人的にはこういった提案はとても好きだし、地に足がついていると思う。もっと評価されて然るべきなんだけど、「新しい空間性」などの評価軸に弱さは拭えない。

未来に向けた提言性という意味でも、現在の延長から未来を見ているため、その射程が狭いのかもしれない。


その一方で、空間性を探求しているものは、どの時代もやはり評価を受ける傾向にある。

その方法は、その空間の光の質を論じるもの、部材の構成を論じるもの、スケッチに即したものなど、様々。

ある意味で狂気的なストイックさと他者の評価を気にしない潔さが必要。

自身の空間を徹底的に思考する姿は、卒制のあるべき姿なのかもしれない。


全体の感想はそんな感じでした。

さて、個々の作品について。これはあくまで展示空間をみた感想で、プレゼンを聞いていないので、NAFの趣旨とは違うし、出展者からしてもそうではない、と思うところもあると思う。


全体を回って、あぁ、これは抜けるな、と思ったのは、

128の椙山女学園の作品。

ドローイングによる空間化を試みていた。空間を作っていないけど、それでも求めているものの先に空間が見え隠れしており、展示空間を見ても圧巻でした。


続いて、きちんとしたリサーチをしている作品として

106愛工大の用水。

多様なリサーチと細かいエレメントに則った設計は、周りにも似たような操作が多かったため埋れがち。でもその中ではきちんとできていた。


あとは

メタモルの117とか、光の落ち方まできちんと考えていた175なんかもチェックはしていたけど、個人的にはそこまでの共感は得られなかった。


個人的に興味があったのは、大きな建築物たちがどう評価されるのか。

134 名工大:水郷の大屋根建築

158:名工大:ターミナル

は、パワーを伴ったものたちで、これらがどうなのか。


あと名城大組では、

こじらせ系。笑。が多く出展。

展示回っても、結構いい味出してたと思うんだけど、やはり学内同様、パンチ不足だった。


うちのゼミから唯一参加した半澤くんは、学内の反省を活かして、さらに発展させていた。

NAFまでが卒制なのね。なるほど。

良いブラッシュアップで、ディスカッションポイントが明確化されていた。

けど、正直、半年間一緒に見ているから、客観的評価軸はよくわからない。

ぐるっと回って相対的に1・2を争えそうとは思ったけど。


さてさて、評価は...。


1位、2位は予想通り。

106が入っていなく、107が入っていたのはたのは予想外だったけど、プレゼンを聞いていれば変わったのかな。 あとは残るかな、ってのが順当に残っていた印象。

大きな建築は評価されていなかった。難しい。


半澤、おめでとう!


気になったのは、やっぱり、収集系、特に小さきものの分散系が多く見られること。その既視感は強く、そろそろ賞味期限近づいている気がする。

学生のためにというか、指導・教育のために卒制を回るのは、名城にきてからで新鮮。学生時代ぶりにレモンやJIAにも足を運んでみようかな。

273回の閲覧

最新記事

すべて表示

朝日新聞・先端人に載りました

3月15日付の朝日新聞、先端人というコーナーに載りました。東海圏の研究者を紹介するコーナーです。 震災時に訪れた地域との出会いが、研究者としての歩みの原点です。いまも友や仲間に会いに訪れ続けています。 そんなことが書かれています。