研究室としても名古屋の都市空間の魅力を大切にしていきたいと考えています。
街を面白がり、その個性を発見する。
その先に個性ある街を作って行く可能性があるんじゃないか、と。
学部が多い佐藤研究室では「まちあるき」として出題しました。
別名、名古屋建築文化研究会。
修士の学生とはメイド・イン・トーキョーを下敷きとしたアウトプットを試みましたが、今回はもっとシンプルに面白い建築を探してみる。という題です。
・コモンが生まれる場所
・住宅のふるまい
・へんな建築
という3つをキーワードに、各々、名古屋の街を面白がり写真を取り、それらをゼミでシェアするという内容です。写真は全て学生が撮ったもの。
1. 屋根のうえのマイ・スペース
自由に屋上に領域を拡張しています。それは物干し場なんかが多いけど、季節のいい夜なんかはここで晩酌しても気持ち良さそう。
そんな、マイ・スペースが見られました。日差しの強い名古屋は、きっとよく洗濯物が乾くのでしょう。
©︎柴田恒博、山下隼矢、倉知翔
©︎児玉成美
車庫上のベランダ ©︎岡田一浩
乗るとこ ©︎和田保裕
2. ミチをハックする
住宅や建物が密集している名古屋の中心部は、地価も高く、なかなか広い土地は取れません。だからこそ屋根上にスペースを見出していたのが前出の写真たち。
屋根の上で満足しない人々は、道路へと領域をはみ出していきます。こんな傾向は狭小敷地や行き止まりの道路などで見られます。自由で、力強い人々のふるまい。
©︎宮本一平
建材ベンチ ©︎岡田一浩
©︎宮本一平
3. 自由なバルコニー
名古屋は日差しが強いからなのか、バルコニーが発達している例がたくさん見られました。中でも、いろんな高さに設定されたバルコニーは、その下に様々な人々のふるまいを発生させます。高いものは様々な人のアクティビティを許容するし、低いものはモノを納める場所となる。適度な高さと広さは、人の屋外空間での活動を促進する。
そして人以外のモノのための小さな下屋なんかもあって、かわいらしい。
L字バルコニーの家 ©︎阿知波拓
ミニ車庫の家 ©︎阿知波拓
玄関前広場 ©︎阿知波拓
屋根がかかった自販機たち ©︎早川葵
4. 街道の名残と住宅の世代
街道の周りの住宅を見に行くと、大きな松を持つ家が見られます。その昔人が歩いていた頃、道に日陰を与えてくれたであろう松。街の記憶を伝える重要な要素な気がします。一つ目の写真は車庫を持たない家。これはモータリゼーション前からの敷地構成を持つ。仮に第一世代と名付けよう。すると、松が残りつつも、駐車場がある例も見られる。ならばこいつは第2世代だ。
第1世代住宅 ©︎柴田恒博、山下隼矢、倉知翔
第2世代住宅 ©︎柴田恒博、山下隼矢、倉知翔
5. セットバックが街の顔を作る
駐車場は現代社会において必要不可欠。だけど、扱いを間違えると住宅の顔を隠してしまう。大きな車産業がすぐ隣にある名古屋は、東京と比べて車のスペースも多く存在している都市である。それゆえ、様々な奥行きの駐車場が混在している。
一つめは駐車場なし。二つ目は駐車場の奥に家庭菜園を設けたもの。三つ目はスタンダードなもの。色々あります。
©︎原田佳苗
©︎原田佳苗
©︎原田佳苗