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土 -とおいち-

木曽にある「人の手で作られた素敵なモノ」。それは誇るべき地域の資源である。

「塩尻」は、塩の道の終点という意味を持つという。

海から遠く塩を容易に手に入れることができない木曽地域の人々は、暮らしの必需品であった塩を得るため、周辺の山林資源を有効に活用し、自らの技術を高めることで多くの人の心を打つ種々の製品を作り上げた。

それ故、木曽には素晴らしい技術で作られた「素敵なモノ」がたくさんあるが、時代の変化とともにそれらは「古いモノ」や「高いモノ」として、正当な評価を得られなくなってしまった。

奈良井宿で新しく始める「きそだまり」では、木曽の「人の手で作られた素敵なモノ」に焦点を当て、それらを紹介・展示・販売する。人の手で作られたということは、修理や手直しもできるということ。

買って終わりではなく、長く付き合い、繕う。

人生の隣にあるモノを求める人が増えたらという願いを込めたプロジェクト。

建築デザインとしては、中心に展示やスタッフの居場所を集約し、壁面は和紙で雑多な建築の意味を消去した。

​歴史ある街場の中で、気品よく浮かび上がるようなデザインとした。

​(2022年4月竣工)

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