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  • nobusato

なぜ水産業の担い手を求めるのか②

更新日:2020年1月1日


学会発表未満・建築エッセイシリーズ[建築・まちに関して]はじめてみます。

色々な取り組みや調査、分析、それらの中には様々な学びがあります。

何かしらのデータに基づき、そんな小さな気づきの履歴を蓄積する試み。

タグは[建築・まちに関して]

時間がある時にしか書けませんので、継続できるかは自信ありません。

さて、漁業の後継者って、どれくらいいるのでしょうか?

データでみていきたいと思います。

私が携わっている地域、石巻の現在を見てみましょう。

2005年以降の漁業従事者数を確認します。

(「著者編:石巻百漁, 石巻市役所」より引用)

グラフを見て見ると震災前から緩やかに漁業就業者数は減少しており、

震災を機に一気に減少していることがわかります。

震災前から漁業権を所有している方は居住地に関わらず漁業権を継続して所有していますので、H25のデータの中には市街地から通っている漁師さんもおり、

純粋に、「浜に住んで漁業を継続している漁師」の実態は更に少ないと想定されます。

その中から、

「漁業後継者がいる世帯」

の統計を調べると、実態は右側のグラフに示されます。

H10からH25の15年で漁師さんの総数は実に半分にまで減少し、

その中で、浜に住んで漁業を継続している漁師の実態は少ないにも関わらず、

後継者がいるのはその中の1/3。

10年後どうなるのか......。

世界三大漁場の一つ、金華山沖を有する石巻、

その豊かな漁場の現状です。

日本全国の漁村で、水揚げを聞いて歩きましたが、三陸の漁村は確実に世界に誇れる漁場と漁獲量でした。

一部の建築の専門家は東日本大震災は日本の将来の縮図である、と言います。

だとしたら、この漁業就業者の現状もおそらくそうなのでしょう。

その先にあるのは漁村景観の危機です。

石巻市水産業担い手センター事業はこういった社会情勢に対する試みです。

一方で、そこに暮らす漁師さんの力強さ、かっこ良さに惚れ込んでしまった自分もいます。彼らは生活や季節を楽しんで仲間とともにいきています。

そんな「文化」とも呼べる地域の空気に惚れ込んだのだと思います。

現状を見つめるのは守りたい地域だから。続いていってほしい地域だから。

一緒に楽しんでもらいたいから。

続いてほしい漁業と景観、そして文化。

次世代に継承するために、

現場にいないからこその視点から、知見を蓄積していきます。

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毎年、新年になると書く、現在地の確認。 そして、昨年を思い返す。 名古屋に来てから定期的に書くようになったから、もう6年目。 2016年は「地域の自助・共助・公助」 2019年は「建築文化」 2020年は「リサーチング・プレーヤー」 2021年は「楽しいが身の回りにあること」 2022年は「生活民芸舎」 2023年は「むきあう」 2024年は「暮らしをつくる」 ーー 2023年は、プロジェクトが

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