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  • nobusato

KJ 1-1 architects 特集号について

更新日:2020年12月17日



東海圏の有望な若手建築家は?


と、問われると真っ先に名前が上がるのは彼らでしょう。売れっ子です。

そんな彼らの特集号、名城大学で非常勤をお願いしていることもあり、ご献本いただきました。ありがとうございます。

ということで、献本いただいたら何か書く、というのをモットーにしていますので、少々。


建築家というものは十人十色。美しい空間を探求するものがいれば、新しいものへの挑戦を続ける者も、今いる世界をもっと楽しいものにしようとする者もいる。一方で、建築家というものは、うまく設計をする人ではないし、ただの図面屋さんではいけないと尊敬の念も込めて思っている。


彼らが自分たちの建築の方向性を示す言葉はなんなんだろう?

現代社会に接続しつつ建築を考えている建築家なんだろうけど、何考えているんだろう?

どんな未来を描いているんだろう?


というのはお会いしてからずっと思っていた。作品はまだ一つしか見に行けていないので、どうも作品を通して理解するには及んでいない。

そんな中、この本やU-35で示してくれた

「Customscape Architecture」というフレーズは、彼らを理解する手助けとなり、とても参考になった。


特に、「慣習を観察し、新たな慣習に書き換えるような設計をする。」というような表現は、現代社会が抱える課題に対して、建築という薬を処方する建築家としての立ち振る舞いの表明であり、それらが横展開して街が転換していくことを目指すという姿勢も良くわかる。

僕は、一つの敷地への回答であり、施主へのオーダーメイドである建築作品が、その奥にある意味や意義に繋がっている可能性を提示するのが、優れた建築家であると考えている。まさにその意味で、1-1が見ている世界の一端をしれ、そしてその方向性の的確さに感銘を受けた。

同時に、この巻頭ステートメントは彼らの立ち位置や思考プロセスを示してくれるもので、作品を理解する手助けになった一方で、一抹の物足りなさも感じた。それは、Customscape の先に見ている未来へのステートメント。作品紹介が趣旨の技術的側面の強い専門誌KJであるがゆえに、今回の編集は致し方ないが、建築家として、慣習を書き換えた先に広がる世界がどんなものなのか、その提言がちょっと欲しかった。きっと、現代における建築の価値以上のものを提供する、というような感じだと理解しているのだが、その辺は、今度改めて聞いてみたい。


時系列でない作品掲載も、ステートメントを深く読み解けるものであり、効果的であった。

そんな個々の作品は、丁寧というのが一番。文章を読み込んでいくと、各事案で面白い諸条件に対して解いているといった印象をもつ。一方で、House OSがもっとも顕著だが、諸条件をどのように理解しているのか、その切り口を絞り、明快にし、作品として昇華させる点に特徴があるのは間違いないだろう。

全般を通して、建築をどう街の中に位置付けるのか、という思考が根底にあるように感じた。街の中に佇む建築がもっと個性豊かであること、そして施主がそんな暮らし方を誇れるようなものを提供すること。それは全体を通して検討している彼らの姿勢なのだろう。


表紙のイラストは美しく、あの世界観ですべたが語られると、プレゼンテーションとしての完成度は格段に上がるのだろう。あと矩計図もよく理解できた。作品としては、やはり掲載順に説得力が上がる印象だった。


しかし、U35入ったり、SDレビュー3回入ったり、KJ載ったり、いやはやすごい勢い。このまま突っ走って欲しい。また新作できたら見せて

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