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  • nobusato

ドットアーキテクツについて

更新日:2020年12月17日

もものうらビレッジ。山の木を伐って小屋を建てて海を眺めるという、よくわからないプロジェクト船を作り、その船に一緒に乗り組んでくれたドットアーキテクツ。


彼らの単著「山で木を切り舟にして海に乗る」が発売されている。


家成さんの声をはじめて聞いたのはスカイプMT。

貝島さんの推薦で小さな建築を依頼し、そしてその回答。

「コンセプトはビッグテントですわ!キャンプ場にはるテントの親玉みたいなものです!ハハハハ!」

家成さんから発せられた一言は衝撃だった。

やれコンセプト、やれ空間性、色々なことが語られるが、結局のところ、面白いに勝るものはない。建築も、空間も、楽しんだものがち。


その後、もものうらビレッジの現場が始まり、色々と厳しい中、一緒に施工をしてくれた同い年の土井さんからの刺激も大きかった。図面・計画を作り込まず、現場で考えながらディテールを納めていく。ゆるーいTシャツを着こなし、大音量で音楽を流しながら施工する姿は強烈だった。そして、常に、信念を感じる言動を伴っていた。昼間に施工して夜に打ち合わせをして深夜に図面を引く。そして日中の現場に顔色悪い感じで現れる。無事故でよかった。笑。


はじめて会った家成さんは、もものうらの現場。

豪快で、こんなにも気持ちの良い建築家っているのか、と一瞬で惚れ込んだ。彼に出会っていなかったら、きっと、今とは違った将来になっていたのではないか、と。何の影響を受けたというのは明確ではないけど、何かの影響は受けた気がする。

彼は、現場で作りながら、壊し、また作る。その無駄にも見える作業を楽しんでいた。

とても暑い中、知人の差し入れのスイカを食べた後には、「大地よありがとう!」と大地にお礼を言っていた。

いやー、鶏小屋を作りたいんですよねぇ。って。

本当に自由。そして楽しそうに施工をしていた。

そんな言葉の奥にある意味を、当時は理解できていなかったけど、きっと、あのプロジェクトを通して大地が蘇って、人と建築と里山の関係が再構築された時の姿に思いを馳せ、言っていたのだろう。1年点検と称して事務所メンバーと再訪してくれた際、本当に小さな鶏小屋を置いていった。

雑誌に寄稿している文章で、「暮らすことと働くことと遊ぶことが同一化しつつある現代」みたいなフレーズがあり、すごく共感したことも覚えている。本質を捉え、そして、自分なりに納得する表現で、力強く進んでいく姿から学ぶことは多い。


そんな、家成さんの人となりを感じることができるのがこの本。

現代社会に風刺的でありつつ、何も嫌味はない。身の丈にあった話を、それ以上のスケールで伝えてくれる。

何か、みちに迷った時、オカンのパンツの話を読み直そうとおもう。

とても優しく、そして、家成さんらしく、本質的でありながら、幸せな気分にしてくれる。


ちょうどもものうらビレッジの施工中、同じく現場が動いていたのが千鳥文化。



「必ずいきます!」

「その際は案内しますわ〜」

なんて、遠く東北で話していた話を、

ようやく竣工3年後。

はじめて訪れた千鳥文化は、心底美しく、凛々しく、そして、気持ちがよかった。

素材の選択や色味、ディテールの物感は、まさしく僕が見てきたドットの癖が多分にあり、

それでいて上品にも仕上げていた。

ほっといたら滅びゆくものを再編し、極上のエンターテイメント空間に仕立てていた、空間の仕立て屋、としての建築だったようにおもう。


案内してくれた土井さんと3年ぶりにした話は、お互いの立場が変わって思考が変わりつつも、やっぱりどこかで繋がっていて、興奮状態で帰ってきた。

また数年後、酒を一緒に飲みたい。


どちらもすこぶるおすすめです。

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毎年、新年になると書く、現在地の確認。 そして、昨年を思い返す。 名古屋に来てから定期的に書くようになったから、もう6年目。 2016年は「地域の自助・共助・公助」 2019年は「建築文化」 2020年は「リサーチング・プレーヤー」 2021年は「楽しいが身の回りにあること」 2022年は「生活民芸舎」 2023年は「むきあう」 2024年は「暮らしをつくる」 ーー 2023年は、プロジェクトが

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