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KJ ナノ特集号をみて

最終更新: 6月1日

nm architecureが特集されたKJ 2020.06 をご献本いただきました。

まずは、ナノさん、おめでとうございます。


この本をみて思ったこと。

個々のプロジェクトを丁寧にご紹介いただいており、設計事案にストーリーフルに向き合うお二人の人柄がよくわかる編集であった。

同時に気になったのが、ナノさんの自律的な全体像がない(冒頭のステートメントとは別。冒頭が「はじめに」ならここでの指摘は「おわりに」の) こと。そして、他者からの評価がないこと。これらは編集上の都合が多分にあるからしょうがない事だと思う。し、現段階だから書かないのだとも思う。


ので、場外乱闘として。笑。

ここでは、全体を通したナノ評を書くことに挑戦したいと思う。

別に正解を書く気は無いが、

献本いただいた以上、何かしらのリアクションを返すことで、お礼にしたい。

SNSで宣伝するのもありだが、自分にとっての学びとして文章を記す事を優先させていただいた。

そして、それを伝える事で、ちょっとこじらせた感謝の意志になるのかな、なんて。


nmの理由から始まる作品紹介。個々のストーリーがこれまでのプロジェクトを丁寧に教えてくれる。

志摩のドクタープロジェクトから始まる一連のプレゼンテーションは、「外来者の寄宿舎」という帰結なのだが、もう少し考えたい。

そもそも、施主が違うのに同じストーリーで帰結できる(え、もしかして一緒?読み切れず。)、というのは、こじつけているように見られても致し方ない。でも、ここでの表現に特にそういった意図は見られない。要求が地続きであった、という事実が、スマートにストーリーを帰結させていたが、結局のところ、始点の結論の導き方、つまりはドクタープロジェクトの結論を、人的ネットワークの拡張に落としたところに妙がある。それは、施主の要望を真摯に聞き分けつつ、彼らnmが見ている、今後の社会との接点の取り方の表れでもある気がしていた。


続く海辺の別荘「野間の架構」。こちらは、施主要望と地域課題に対して真摯に向き合った結果の作品である。が、正直、理解も納得もできている(つもりだ)が、共感のフックがすぐには立たなかった。海辺の課題、施主のライフスタイルと予算規模から導き出される帰着点は、確かにその通り。でも、同時に、これらはとても局地解であって、作品から出てくる建築家的な言語はあまり確認できなかった。

ここでいう、建築家的な言語、とは、とても難しいが、僕の個人的な意見と理解からすると、

社会の未来に向けた提言

である。

つまり、局地解を導き出した同作品からは、共通項を多く見いだすことはできず、現代における建築家表現(士ではない)として定位できなかったという訳である。そこが個人的なドクタープロジェクトの感触との違いであった。


一方で、渋谷の美容室と、アーツチャレンジを知ると、少し印象が変わる。野間の架構だけでは見えなかった、「素材」への探求が理解できてくる。それは、下地材や建材ではないものの建材化。すると、ここで、建築作品における価値の転換という軸が想像される。野間の架構での表現は、素材への挑戦であり、それはつまり、建築の可能性の探求であったのかもしれない、と。


そんな自分の理解が、うーむ、なるほど、と言語化されたのが、PALETTE。こちらは、素材への言及と地域のテイストが重なっているため、すんなりと心に入ってくる。野間の架構はある意味で異素材の導入であったが、ここでは、地域と親和性のある素材の導入だったため違和感をさほど感じなかったが、根源的には、素材の実験と探求でもある。撞木館での展示も素材への旅路と見れる。


法規や条件、といったことに対する感度が鋭い点も、nmの特徴なのだろう。それが真摯に出ているのが、0㎡の増築。アンビルトながら、もっともエッジの効いた作品であった。正直一番面白い。


以上、KJから、nmをざっとみてみると、人的ネットワークのリ・デザイン、素材への探求、社会の制度や既存への旅路、というルートがざっくり見えてくる。これらを総じて、現時点では、「意味の転換」という言葉で理解している。これまでとは違う角度から物事をみることで、新たな価値転換を図ろうとしているのではないか。そして、その意味を社会の中で、個々の事案ごとに大小見定めて表現しているのではないか。


同時に、社会の意味が大きく転換しようとしている世の中で、

次なる意味を、どう表現していこうとしているのか。

設計事務所の人生が、人の人生の2倍で育つとすると、事務所開設5年は小学生を終えたくらいなのか(超失礼)。

10年で成人。20年たつと若手を卒業するのかもしれない。そこからは加速度的で、30年で重鎮の仲間入り。40年続く事務所は確固たる地位を有するのかもしれない。

次は10年目の成人式。


手にとって、見てみると、建築家、っていう進路が少し近くなるかもしれない。

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