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  • nobusato

最近考えていること。2021年。

「最近考えていること。」というこのシリーズは、その時々の自分のステートメントを記す場所。2019年からは、毎年、新年の豊富とともに記すようにしている。

2016年に書いていたことは「地域の自助・共助・公助」。

2019年に書いていたことは「建築文化」。

2020年は「リサーチング・プレーヤー」。

2021年は「楽しいが身の回りにあること」。


ーー


今年は本当に色々なことを考えた。

できることとできないこと

今やるべきこととやらなければいけないこと、やらなくていいこと

何が現代社会を生み出したのかを考えること

これから先に必要なことはなんなのかを考えること。


今までは立ち止まることなく毎週末出張をして、活動をしてリサーチをしてデザインと教育をしていた。

「いま社会に必要なこと」を考え続けてきた。

そして申請書を書いたり企画を立てたりして評価を得たものに全力で取り組み続けてきた。


今年はそんな今までの生き方と、少し距離をおくことになった。


思えば、

ワールドトレードセンター以降少し社会が変わって、

東日本大震災以降に大きく社会が動いた。

自分は東日本に軸足を置いてきたから、

その後の10年間の社会の動きに機微がきいたと思うし、

実践を通して色々な思考や思想を蓄えてきたから、

ある角度から社会が必要とするものを考えることができたと思う。


でも、2020年以降は、新たな時代や思考に変化する気がした。

そうしたときに自分は何を軸足におくのか。


もしかしたらこの1年は自分の羅針盤を探す時間だったのかもしれない。

振り返って見直すことができた。


本当に大切なことは今の社会課題に対する処方箋を提示することではなく、

あるべき社会が何かという根本的な思想なのかもしれない。

目指すべき方向は、それは今まで歩んできた道とそんなに違わないけど、

それでも前提条件を今一度整えて、

目標を少しずつ考える時間だった。


建築を通して自分は何をしたいのか、という難題に、

極めて単純な回答が頭に浮かぶようになった。


「自分の住んでいるまちが面白くなること」

「そんな地域がたくさん増えること」

「そのためにできるデザインを重ねていくこと」


妻は、「自分が住んでいる街くらい楽しくあって欲しい」という。

だから地域でいろんな取り組みを頑張っている。


なるほどしかり。

結局自分は、

自分が関われた街が面白くて、

課題もあるからもっともっと面白くするための努力を重ね、

また行きたいな、って思う街にするために活動をしてきた。のだなぁ、と。

今住んでいる長野でも、妻と一緒にいろんな人が訪れてくれる家を作りたいと考えている。

なぜ教育に携わるか、というと、

自分の住んでいる街を面白くしたい人が増えたら、

楽しいまちが増えると思うから。

そのために研究も実践もする。

リサーチもデザインもする。

ここまでが、これからの自分の生き方を考えることであり、去年までの自分を振り返ることでもあった。


でも、そもそもの「楽しい」とか「面白い」ってなんだろう。

っていう思考が、実は今まで不足していた部分なのだと再確認したのが2020年だった。


そこで、たくさんの本を読み、たくさんの動画を見て、色々な思考を巡らせた。

建築家の言説や哲学書、環境系の本などを改めてインプットし、

建築系のレクチャーやディスカッション動画を毎週3時間くらい聴き続けた。

それ以外に同世代のディスカッションを大切にして、

今の自分の考えを精査した。


環境問題は大切だし、

エネルギーロスの少ない建築にしたい。

でもそもそも自然風が流れた方が気持ち良いし、

太陽からのエネルギーも絶大。

他方、発電所から家までの間の電気ロスも大きい。

輸送にかかるエネルギーの問題も大きいし、

牛が出すCO2も多い。

そもそも山や海などの自然と人の関係を考え直さないといけないのかもしれない。


膨大化した資本主義経済のなかにいる我々現代人は

どういう流れで生活が成り立っているのかがわからない。

だからどこかのラインが滞ると一気に生活が成立しなくなってしまう。


素晴らしいものが何かを感じる感性を失うと、

誰かが良いと言っている物しか選択できなくなる。

でもそのためには資本が必要で、

資本を持っていることを誇る人と、資本がないことを恥じる人が生まれる。

そして資本に嫌気がさして極端な思想に振り切る人も現れる。


色々なことに課題があるけれど、どれも間違ったことではないと思う。


そんな中、今思っているのは、

自分の周りにあるものが、

どういう風につくれらているのかを知ることの大切さ。


カウンターで食べる寿司は、職人が生み出したもの。

誰が作ったかわからない寿司は、商品として購入するもの。


身の回りにあるものが、どんな人や会社の努力と叡智で成り立っていて、

どんな経済の流れで手元に届くのかを考えること。

そんな職やスキルを身に付けた人が周りにいること。

商品を買うのは大切だけど、同時に、

我々は生活をよくするツールを手にしているんだという感覚を持つこと。

薪ストーブは、部屋を温かくする商品であると同時に、

薪を使うようにするツールでもある。


それは、食べ物、商品、エネルギーまで広がる。


生活に隣接するブラックボックスを減らして、

生活を選択すること。


それが今思う、「楽しい」や「面白い」街の正体なんだと思う。


人生は地層のように思想や活動が蓄積されるものなんだろう。

2021年も、翌年に恥じない地層になるよう、精進しよう。

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